※本稿は初稿です。発言は意味を変えない範囲で、読みやすい形に整えています。
「推してくれる人が、私を変えてくれた」人気キャスト・min*゜独占インタビュー

VRChatのイベントシーンで、複数の接客イベントに出演するキャスト・min*゜さん。明るい話し方と親しみやすい空気で、多くのファンから応援を集めている。
取材時点で、VRChatを始めてからまだ1年も経っていない。もともと人前に出ることが苦手で、自分に自信を持てなかったという彼女は、なぜキャストになり、誰かに「推される」存在になったのか。
活動の原点から接客で大切にしていること、ファンとの出会いによって変わった自分、そして今後やってみたいことまで聞いた。
【写真:インタビュー中の様子】

「ここに行ってみたい」から始まったVRChat

――VRChatを始めたきっかけを教えてください。

某有名配信者さんが「サキュバス酒場」を訪れた動画を見たことです。様子を見て、「このゲーム面白そうだな」「ここに行ってみたいな」と思って始めました。
最初からキャストを目指していたわけではない。興味を持ったイベントの抽選には何度も挑戦したものの、なかなか参加できず、当時はアバター関連のイベントなどを中心にVRChatを楽しんでいたという。

――そこから、キャストとして活動することになった経緯は?

周りにキャストをしているフレンドが何人かいて、楽しそうだなと思っていました。ちょうどその頃、自分が興味を持っていたコンセプトのイベント募集がXに流れてきたんです。受かるとは思っていなかったんですけど、「面白そうだし、一度キャストをやってみたいな」と思って応募しました。
軽い気持ちで踏み出した一歩は、やがて彼女の日常だけでなく、自分自身に対する見方まで変えていくことになる。
沈黙を作らない。近づく前には確認する
現在のmin*゜さんは、複数のイベントで接客を中心に活動している。接客で最も大切にしているのは、お客さんとの距離感と会話だ。

――接客で意識していることはありますか?

お客さんとの距離感と、会話に詰まらないようにすることです。沈黙が生まれると、絶対に楽しくないと思っているので、沈黙が続かないように質問を考えています。
返事が短いお客さんに対しても、「今日は誰に会いに来たの?」と質問し、反応が大きかった名前から話題を広げていく。本人は冗談交じりに「マシンガントークなので」と笑うが、その根底にあるのは、目の前の相手に楽しんでほしいという気持ちだ。
VRChatの接客イベントでは、アバター同士の距離が近くなる場面もある。だからこそ、相手の意思を確かめることも欠かさない。

私は距離の近いサキュバスなんですけど、「触っても大丈夫?」と聞いてから距離を詰めるようにしています。「サキュバス酒場」もルールがきちんと決まっていて、確認を取るよう普段から言われています。イベントとして、すごく働きやすいと思います。
初心者は、カフェやバーからゆっくりと
某有名配信者さんの動画をきっかけに、初めてイベントへ足を運ぶ人も多い。一方で、知名度の高いイベントならではの盛り上がりに圧倒される人もいるという。

―イベントに慣れていない人へ、おすすめの楽しみ方はありますか?していることはありますか?

有名なイベントにいきなり行くより、カフェやバー系のところから、ゆっくり行くのがいいんじゃないかなと個人的には思っています。イベントによって距離感や雰囲気も違うので、自分の得意不得意に合っているか、ある程度情報を見てから行ったほうが、お互いに楽しめると思います。
憧れた場所へ飛び込む勢いも大切だ。しかし、VRChatにはそれぞれ異なる雰囲気を持ったイベントが数多くある。まずは自分に合う場所を探すことも、長く楽しむための一歩なのだろう。
一人だったレーンを見ていたお客さん
キャストになった直後から、多くの人が会いに来てくれたわけではない。活動を始めて2回目か3回目の出勤。隣には人気の先輩を目当てに十数人が並び、min*゜さんは自分のレーンで一人、来客を待っていた。
しばらくすると、何人かのお客さんがmin*゜さんのもとへやって来た。その中には、先輩の列に並んでいた人もいたという。

理由を聞いたら、「一人でいたから気になって見ていた。声がかわいかったし、周りのお客さんに挨拶しながら明るく振る舞っていたのが印象的だった」と言ってくれました。その人は、今でもずっと会いに来てくれています。すごくうれしかったので、印象に残っています。
目の前にお客さんがいない時間も、彼女はキャストとしてその場に立ち続けていた。その姿を見ていた人が、現在まで続くファンになった。
「そんなことない」から「ありがとう」へ

――キャストを続けていて、「やっていてよかった」と感じるのはどんなときですか?

応援してくれる人たちと出会えたことですね。ここ3か月で、自分の性格がすごく変わったんです。もともと人前に出るのが苦手で、「自分なんて何もできないよ」と思うタイプでした。
彼女を応援するファンの中には、出演するイベントが変わっても、そのたびに会いに来る人がいる。

本当にありがたいです。そのおかげで、いろいろなことに挑戦するのが怖くなくなりました。
VRChatとは関係のないプライベートで嫌なことがあっても、みんなとの楽しかった思い出があると、
「まあ、いっか」と思える。
みんなと出会えたことは、VRChatの中だけでなく、リアルの自分にも影響しています。
以前は「人気だよね」と言われても、「そんなことないよ」と否定していた。しかし今は、その言葉を少しずつ受け取れるようになったという。

そう思ってくれている人がいるなら、受け取らないと失礼かなと思って、「ありがとう」と言えるようになりました。本当に会いに来てくれる人が多いから、「そんなことないよ」と言うと、会いに来てくれている人たちを否定することになると思って。少し考え方が変わってきました。
人気を認めることは、自分を大きく見せることではない。応援してくれる人の気持ちを、そのまま受け取ることでもある。彼女の言葉からは、ファンに支えられながら育ててきた自信が伝わってきた。
カルパスとカヌレ、そして「サキュバスの体力」
キャストとしての姿から少し離れ、普段のmin*゜さんについても聞いた。
好きな食べ物はカルパス。酒は飲めないものの、塩気のあるおつまみを単体で食べるのが好きで、むくみ対策のドリンクと組み合わせているという。甘いものでは、外側がカリッとしたカヌレがお気に入りだ。
趣味はゲームやアニメのほか、ハンドメイドアクセサリーや刺繍。最近は『とんがり帽子のアトリエ』に夢中だという。写真撮影も好きで、夏に合うお気に入りのワールドとして「été – SALON․」を紹介してくれた。
取材当日は、仕事の残業後にもかかわらず元気な様子を見せていた。普段は朝の5時、6時まで起きていることもあるそうだ。体力の秘密を尋ねると、返ってきたのは実に彼女らしい一言だった。

「サキュバスなんで」
ファンと一緒に、次の楽しいことを
min*゜さんの個人ファングループは、取材時点で50人を突破。記念企画として、ファンと一対一で過ごす個人デートイベントも行っている。


――今後、VRChatで挑戦してみたいことはありますか?

ファングループの中で、麻雀大会やポーカー大会をやってみたいです。まだ賞品は考えていないんですけど、開催するなら何か用意したいと思っています。
イベント運営そのものを始める予定は、現在のところない。もし行うとしても、一日限定の個人イベントのような形を想像しているという。大規模な目標を掲げるより、今そばにいる人たちと一緒に楽しめることを増やしていく。それが、min*゜さんらしい次の一歩なのかもしれない。
「出会ってくれてありがとう」

――最後に、応援してくれている皆さんへメッセージをお願いします。

いつもありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。
それと、出会ってくれてありがとう。
短い言葉ではあるが、取材を通して聞いてきたファンとの思い出を知れば、その重みは大きく変わる。
「そんなことない」と自分を否定していた彼女は、応援の言葉を「ありがとう」と受け取れるようになった。今度は、その感謝をファンへ返しながら、新しい楽しみを作ろうとしている。

取材後記
インタビュー後の写真撮影でも、min*゜さんの周りには自然と笑い声が生まれていた。好きなものを話すときの楽しそうな様子や、周囲がつい構いたくなるような親しみやすさ。どこか末っ子を思わせる空気も、多くの人が彼女に会いに来る理由の一つなのかもしれない。
min*゜
VRChatで活動するキャスト。明るく親しみやすい接客と、誰とでも自然に打ち解ける雰囲気を持ち味に、複数の接客イベントへ出演。ゲームやアニメ、ハンドメイドアクセサリー、刺繍、写真撮影など幅広い趣味を持ち、活動開始から約1年で多くのファンを獲得。応援してくれる人との出会いを原動力に、VRChatで新たな挑戦を続けている。


