※発言は意味を変えない範囲で、読みやすい形に整えています。
VRChatには、「好きだから」という気持ちだけで始まり、やがて誰かの居場所にまで育っていくイベントがある。
「ロリっ子喫茶ぷぷりえ」も、その一つだ。
アニメ調の小柄なアバターとロリボイスで接客する店員たちが、お菓子や飲み物を給仕する。だが、ぷぷりえの魅力は、かわいい店員を眺めるだけでは終わらない。
おいしくなるおまじないをかけてもらい、一緒に写真を撮り、庭へ出て遊ぶ。客側もロリっ子の姿になって参加できる、店員と来店者が一緒に時間を作るための場所だ。
2021年ごろに始まり、2026年夏でまもなく5周年。長く続くイベントの裏側には、どんな思いと工夫があるのか。
店長のrikusu3さんに、ぷぷりえ誕生のきっかけから、店内での体験、ワールド作り、運営の苦労、そしてイベントの外へ広がる創作活動まで、じっくり話を聞いた。

「ロリっ子喫茶ぷぷりえ」店長のrikusu3さん
「ないなら作るか」――欲しかった場所を自分で作った

――まず、VRChatを始めたきっかけから教えてください。

2020年の夏ごろですね。もともと付き合いのあったオンラインの友人から「VRChatが面白い」と勧められて、Questを買いました。
最初はゲームワールドや観光ワールドを巡って、友人たちと遊んでいました。
友人に勧められ、VRChatの世界へ足を踏み入れたrikusu3さん。しばらく遊ぶうちに、VRChat内で開かれているイベントへ足を運ぶようになり、自身も運営に関わるようになった。
そこで、ある空白に気づく。

――「ロリっ子喫茶ぷぷりえ」を作ろうと思ったのは、なぜだったのでしょうか。

当時もロリ系のイベントはあったんですが、店員全員がロリボイスで接客する喫茶店形式のイベントは、自分が探した範囲では見つからなかったんです。
「こういうイベントがあったら行きたい」と思って探して、でも見つからなかった。それで、「ないなら作るか」と。
Xで店員を募集して、集まったメンバーと一緒に立ち上げました。
欲しい場所がないなら、自分で作る。
ぷぷりえの始まりは、とてもシンプルだった。

――「ぷぷりえ」という名前は、どのように決まったのですか?

「ポプリ」を思わせるような、かわいらしい響きの名前をいくつか候補に出して、立ち上げメンバーで決めました。
甘くやわらかなロゴと、木のぬくもりを感じる店内。その雰囲気は、「ぷぷりえ」という名前によく似合っている。

店内に掲げられた「ロリっ子喫茶ぷぷりえ」の看板

――立ち上げたころと比べて、営業の形も変わりましたか?

最初は今よりもずっとシンプルでした。
建物があって、来店者がいて、ロリっ子の店員が接客する。そこから営業を重ねるたびに、席の回り方や店員の動き方、遊びの内容を少しずつ試してきました。
一時期は、店員が決まった順番で席を回る方式も試しました。今は、店員と来店者がもっと自然に動いて、一緒に遊べる形になっています。
方法は変わっても、「ロリっ子とロリ好きが集まれる場所にしたい」という中心の思いは変わっていない。
店員だけでなく、ロリ系アバターで訪れる来店者も多い。かわいい姿を見たい人も、自分自身がロリっ子として輪に加わりたい人も、同じ店内で過ごせる。
ぷぷりえは、一方向にサービスを提供する店というより、ロリっ子とロリ好きのための交流店舗イベントなのである。
入店から退店まで、50分間の「かわいい」を体験する

――初めて来る人は、どのような流れでぷぷりえを楽しむのでしょうか。

まず入口で店員がお出迎えして、注意事項を読んでもらいます。そのあと、入店用の仕掛けを操作して店内へ入ります。初来店だと分かる印も用意しているので、店員側から見ても「初めて来てくれた人だ」と分かるようになっています。
店内では席へご案内して、メニューをお渡しします。飲み物やお菓子を注文してもらって、そこから店員との会話が始まります。一緒に写真を撮ったり、遊んだり、食べ物へ「おいしくなるおまじない」をかけたりもします。

――ぷぷりえ独自の応援もあるそうですね。

「ぷぷりえーる」ですね。店員が歌や掛け声で来店者を応援する、ぷぷりえらしい遊びの一つです。
会話が得意な人だけの場所にはしたくないので、何を話したらいいか迷ったときに、店員と一緒に遊べる「お遊びメニュー」も用意しています。
共通の遊びが一つあれば、初対面でも自然にやり取りが始まる。
ただ店員と話すだけではなく、何かを一緒に体験することで、会話のきっかけが生まれるように作られている。

――営業の後半には、庭へ移動するんですよね。

はい。庭は季節に合わせて内容を変えています。夏はプール、秋は焼き芋、冬は雪やかまくら、春は花見といった遊びを用意してきました。

店の外には、季節ごとに内容が変わる庭が広がる
約50分の営業を過ごしたら、最後は全員で集合写真を撮り、店員たちに見送られて退店する。
入口で迎えられてから、店内での接客、庭での遊び、最後の記念撮影まで。一度の営業そのものが、一つの体験として組み立てられている。

――接客の中で、特に大切にしていることはありますか?

お客さんが一人にならないようにすることです。
店内から庭へ移るときも、来店者だけを置いていかないようにしています。誰かしら店員がそばに付いて、一緒に移動する。せっかく来てもらった人を、輪の外でぽつんとさせたくないんです。
初来店者が分かる仕掛けも、お遊びメニューも、この考えにつながっている。
発声をしない来店者には、ペンや文字で意思を伝えられる手段も用意する。会話が苦手でも、声を出さなくても、共有できる遊びがあれば参加できる。
入口から退店までの設計には、「かわいい体験」の手前で誰かを取りこぼさないための工夫が積み重ねられていた。

――帰るとき、来店者にどんな気持ちになっていてほしいですか?

たくさんロリっ子とお話したり遊んだりして、「楽しかったな」「元気をもらえたな」と思ってもらえたらうれしいです。
難しい感想ではない。
その一言が、ぷぷりえの目指すものをよく表している。
机の角まで丸い。ロリっ子の目線で作られたワールド
ぷぷりえのワールドへ入ると、視界のどこかに必ず「かわいい」がある。
目の前で接客している店員だけではない。別の席で話している店員、庭で遊んでいるロリっ子、棚に並ぶ小物、お菓子を模した装飾まで、店内全体が一つの世界観でまとめられている。

――ワールド作りで、特に印象に残っている部分はありますか?

家具は、小柄なアバターに合わせた大きさで作られています。中でも感動したのが、テーブルの角です。
普通の3Dモデルなら、わざわざ丸くしなくても成立する部分だと思うんです。でも、この場所を使うのはロリっ子たちだからと、店舗モデルを作ってくれた方が、角をきちんと丸めてくれました。
実用上は、小さな配慮に見える。
だが、その小ささこそが大事なのだ。
見た目だけを幼くするのではなく、「この場所で、この姿の人たちが過ごすなら」と考えて作られている。

――現在の店舗は、最初から使っていたものですか?

初期は、購入した建物のアセットを使っていました。その後、周年の節目に店舗をリニューアルして、今の店舗モデルはぷぷりえのために制作してもらったものです。
私は受け取ったモデルをUnityへ組み込んで、店員だけが操作できる仕掛けや小物、季節の遊びなどを設定しています。
店の外にそびえる大きな木も、ワールドを象徴する存在だ。店内のぬくもりと庭の開放感をつなぎ、季節ごとに変わる遊びを見守っている。
「どこを見ても、かわいいロリっ子がいる」。
それは偶然できた光景ではない。モデル、家具、動線、仕掛けを、一つずつ積み上げた結果だった。
完璧な役より、「一緒に楽しみたい気持ち」
ぷぷりえの店員は、ロリ系のアバターとロリボイスで接客する。
では、採用では声の完成度や、厳密なキャラクター設定を最優先しているのだろうか。

――店員を迎えるとき、どのような部分を大切にしていますか?

まずは、ロリっ子が好きであることです。
そのうえで、店員同士や来店者と一緒に遊んで、みんなで楽しみたいと思える人に来てもらいたいです。

――新人の研修では、ロリボイスの出し方も教えるのでしょうか。

営業の流れや接客の基本は伝えますが、声の出し方やロリボイスの作り方までは強制していません。
アバターを身に着けたときに自然と表れる性格や、本人なりの「ロリっ子らしさ」を大事にしています。
役柄を細かく決めて演じてもらうというより、それぞれが持っているかわいさを、店の中で生かしてほしいと思っています。
この柔らかさがあるから、同じロリっ子でも、一人ひとりの話し方や振る舞いは違う。
元気な子、落ち着いた子、いたずら好きな子。何度訪れても別の出会いがあり、「全員と会ってみたい」と思わせる理由にもなっている。

――店内では、やんちゃをした来店者とのロールプレイもあるそうですね。

勝手にお菓子へ手を伸ばしたりすると、店員がロールプレイの中で注意します。反省してもらうための、コミカルな仕掛けもあります。

やんちゃな来店者とのやり取りも、コミカルな一場面になる
rikusu3さんが求めているのは、現実の子どもをそのまま再現することではない。
アニメの中に登場するような、分かりやすく、かわいく、少し大げさな「子どもらしさ」だ。
だからこそ、いたずらも、お仕置きも、深刻にならない。お互いが設定を理解して一緒に演じることで、VRChatならではの一場面が生まれていく。
50人を超える店員と、複数インスタンスを支える仕事
現在のぷぷりえには、50人を超える規模の店員が所属している。
営業によっては複数のインスタンスを同時に開き、それぞれで来店者を迎える。
規模が大きくなれば、当然、裏側の仕事も増えていく。

――営業中、複数のインスタンスはどのように連携しているのでしょうか。

スタッフはDiscordの通話で連携しています。
急に参加できなくなった店員が出たら、接客人数が足りないインスタンスを確認して、私自身が穴を埋めることもあります。店長として全体を見回りながら、必要であれば接客にも入ります。

――営業している50分以外にも、かなり仕事がありそうです。

営業前にはシフトを集めて、配置を決めて、告知を出します。
ワールド側では、店舗モデルへ仕掛けを組み込んだり、アクセス権限を設定したり、季節の装飾や遊びを更新したりします。
ほかにもYouTubeの動画、グッズ制作、通販の準備、イベント出展があります。
本業もあるので、自分がもう一人いたら、と思います。いや、3人、4人くらいほしいです(笑)。
冗談交じりの言葉だったが、話を聞いたあとでは、笑うだけでは済まない。
特にVketRealへ出展した時期は、現地で渡すものの準備や通販作業まで重なり、徹夜になることもあったという。
かわいい店内の裏側で、膨大な事務と制作が回っている。
イベントを長く続けるには、アイデアだけでは足りない。
締切を守り、問題へ対応し、次の営業までに必要なものを整える。そうした地道な仕事が欠かせないのだ。
一度は閉店も考えた。それでも続けた先にあった転機
5年近い歴史が、最初から順調だったわけではない。

――長く続ける中で、特に大変だった時期はありましたか?

始めてから1年ほどの時期に、良かれと思った行動が店員さんからの反発を招いてしまい、
色々嫌になって、イベントを終わらせようかと考えた時期もあります。

――それでも、続けることを選んだのはどうしてでしょうか?

続けたいと支えてくれる人がいたからです。
活動を続ける中で、大きな転機も訪れた。
ストリーマーのスタンミさんに、ぷぷりえが取り上げられたのだ。

――動画が公開されたあとは、どのような反響がありましたか?

一日に100件を超えるフレンド申請が届きました。入店待ちの列も一気に増えて、これまでのFriend+を前提にした運営では対応できなくなりました。
そこで、営業方法をGroupインスタンス中心へ変更しました。営業終了後まで対応が続いてしまうこともあったので、午前0時で完全に営業を終えるルールも明確にしました。

――活動を続けた先で、急に多くの人へ届いたのですね。

長く続けていると、突然、光が当たる瞬間が本当にあるんだと実感しました。
一つの動画によって、ぷぷりえが急速に広がったのは事実だ。
だが、その瞬間まで営業を続け、初めて来た人を受け入れられる店と運営を作っていた。
だからこそ、集まった関心を一過性で終わらせず、次の営業へつなげることができたのだろう。
営業が終わっても、ぷぷりえは創作として残り続ける
ぷぷりえの活動は、定期営業だけではない。

――YouTubeでは、どのような発信をしていますか?

店員の自己紹介や、営業中の様子を届けています。Xの投稿は時間がたつと流れてしまいますが、動画なら、店員の個性や店の空気をあとからでも知ってもらえます。
複数インスタンスの様子を、ライブ配信したこともあります。

――オリジナル曲も制作しているんですよね。

エイプリルフールの企画で、ぷぷりえを一日限定のアイドルカフェにして、オリジナル曲を作りました。
最初は、その日だけ頒布するつもりでした。でも、「もう一度聴きたい」と言ってもらえて、あとからYouTubeでも公開しました。
どこか懐かしいアニメソングや電波ソングのような曲調になっています。以前、同人音楽の活動をしていた経験もつながっていますね。
その一日から楽曲は増え、カードゲームや謎解き企画にも展開していった。
店員や来店者との時間から生まれたアイデアが、CDやカード、動画といった別の形へ育っている。
ロリっ子喫茶ぷぷりえのオリジナル楽曲:ともだちになあれ☆

ぷぷりえを題材にした「なぞなぞ!ぷぷりえ☆大解決!」のCD

推しの幼女で遊べるVR-TCGの紹介ポスター

――ワールド内には、これまで制作したグッズも展示されています。

キーホルダーやステッカー、グラス、トートバッグなどを作ってきました。
店員やイベントをモチーフにしたものが多いです。

店員たちのイラストが並ぶ、ぷぷりえのトートバッグ
営業は約50分で終わる。
しかし、そこで生まれたものは、営業終了の合図では消えない。
写真として残り、動画として残り、曲やグッズになり、次に遊びに来る理由になる。
ぷぷりえが5年近く続いてきたのは、同じ営業を繰り返してきたからではない。
中心にある「ロリっ子とロリ好きが交流できる場所」という軸を守りながら、季節の遊び、動画、音楽、グッズへと表現を広げてきたからだ。
「楽しかった」と帰れる場所を、これからも

――今後、ぷぷりえでやってみたいことはありますか?

ほかのイベントとのコラボレーションをしてみたいです。
特に興味があるのは、店員を入れ替える形の交流ですね。別のイベントの店員がぷぷりえで接客して、ぷぷりえの店員が相手のイベントへ行く。
異なる文化を持つイベント同士が混ざれば、普段とは違う店員の姿も、来店者との新しい出会いも生まれると思います。
取材時点では、VketReal 2026 Winterへの出展にも意欲を見せていた。
ワールド内の体験を磨くだけでなく、現実の会場や別のコミュニティへも、ぷぷりえの世界を広げようとしている。
すべての始まりは、「自分が行きたいイベントがない」という小さな不満だった。
そこで諦めず、「ないなら作るか」と動いた。一緒に作る人が集まり、店員が増え、来店者が増えた。悩みや衝突もありながら、そのたびに運営の形を変えた。
気づけば、5年近く営業を重ねるイベントになっていた。

――最後に、これからぷぷりえを訪れる人へメッセージをお願いします。

ロリっ子とロリ好きのための交流店舗イベントです。
小さい子と話したり、かわいいものを見たりするのが好きな人は、ぜひ遊びに来て、癒やされてください。
どこを見ても、かわいいロリっ子がいる。
誰かが隣に座り、一緒に遊んでくれる。
ぷぷりえが作ってきたのは、単なるかわいい喫茶店ではない。
好きなものを好きだと言える人たちが集まり、最後に「楽しかった」と帰れる場所だった。
関連リンク
- ロリっ子喫茶ぷぷりえ 公式X(@pplevrc)
- ぷぷりえちゃんねる(YouTube)
- オリジナル楽曲『ともだちになあれ☆」
- ぷぷりえショップ(BOOTH)
- rikusuさん X(@rikusu_vrc)
rikusu3
ロリっ子喫茶ぷぷりえの店長。
接客から裏側の仕事までをこなし、ぷぷりえの運営を支えている。

